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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

新吉はこすい眼をちかちかと光らした。

女は池の中の路を往ってしまって池の縁へ出た。新吉は女はこれからどっちを向いて往くだろうと思って見た。女は池の縁を右のほうへ折れて少し歩いたが、すぐ立ち停ってどこへ往ったものであろうかと考えているようにしていたが、間もなく後に引返して、そこに見えている山の方へ入って往く路を透して見るようにした後に、その方へ歩いて往った。新吉はいよいよ女は田舎から出たばかりで困っているものだと思った。彼は己の覘っている物を見つけだしたような気になって女の方へ歩いて往った。

ぼつぼつ点いたアーク燈の光に嫩葉の動いているのが見えていた。女は微暗い広場の上をあっちこっちと見るようであったが、すぐ左側の木の陰で暗くなったベンチの方へ往って腰をかけた。広場の周囲のベンチからは人の咳をする音が聞え、煙草の火のような小さな火が見えていた。新吉は人に疑惑を起させないような歩き方をして女の傍へ寄って往った。彼は何時の間にか巻煙草に火を点けていた。

女は驚いたように顔をあげた。黒い軟らかな眼がおずおずとなって見えた。

「私は決して怪しいものじゃないのです、私は日本製絨会社に勤めている者ですが、あなたが非常にお困りのようだから、お尋ねするのです、この公園へは田舎から出て来て困った人だの、事情があって家を出た人