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がまのち
日本怪談大全 第一巻 女怪の館
田中 貢太郎
線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁
新吉はそう云いながら女の前に坐った。
「すみません」
新吉はそれから女の素性を聞きだした。
「あなたの名は何と云うのです、名を聞くことを忘れてたのですが」
「わたし、わたしは佐藤秀子と申します」
「ああ、佐藤秀子さんですね」
「年は幾歳です」
「二十歳になります」
そこへ跫音がして、下のお媽さんが入口のところへ顔を見せた。お媽さんは丼を据えた膳を持って来たところであった。
「ここへ置きますよ、お茶も持って来ました」
「ありがとう」
お媽さんはもう下へおりて往った。新吉は起って往ってその膳を持って来た。
「さあ、これをやりましょう」
新吉は酒に醉って好い気もちになって帰って来た。彼は己の開けて入った雨戸を元のとおりに締めて、玄関口からすぐあがるようになっている二階の梯子段をあがった。公園の附近に網を張って壮い女を覘っているこの悪漢は、今晩誘拐して来た女を、清水屋という怪しい家へ渡すことにしてそこで酒の饗応になって帰って来たところであった。
二階の室はひっそりとしていた。新吉はちょっと首をかしげてから蒼白く見える障子を開けて入った。入りながら女はどこに寝ているだろうと思って眼をやった。