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がまのち

日本怪談大全 第一巻 女怪の館

田中 貢太郎

線上閱讀田中 貢太郎《日本怪談大全 第一巻 女怪の館(がまのち)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 192,678 字 · 394 頁

青空文庫

、それを買いとり、帰りに寒くはあるし、一つにはその男への礼心もあったので、すぐ傍の西洋料理へ入って、ストーブの火に暖まり、暖かい二三品の料理をつッつきながら、いろいろの話をしていると、その男が、

「この間中は、変なことばかりで、己が発狂しているからこんな錯覚を起すのではないかと思って、気もちが悪くてしかたがない」

と云って、話した話がある――

それは靄の深い晩であった。私は銀座で二三人の同僚と飯を喫って帰っていた。来る電車も来る電車も皆満員であったから、彼の自動車で上野の広小路まで往って、そこから電車へ乗るつもりで降りたがまた例の病気が起って、夜店の古本が覗きたくなったので、切通へ寄った方の人道へと往った。

店おろしの新らしい古本を並べた店と、雑誌ばかり並べた店を見て往くと、地べたへ莚を敷いて、その上に名のとおりのうす汚い古本を並べた、何時もいる古本屋がいるので、その前にも暫く蹲んでみた。そして、その側の古本店は一とわたり見てしまったので、向側へ往くつもりで、車道を横断っていると、ちょうど動坂の方から出て来た電車がやって来て、すぐ眼の前で停ったので、急いでその電車の前を横断ろうとした。