輕讀日語

輕鬆讀懂日語經典作品

ja-reading.com

輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。

ばいりせんせいぎょうじょうき

梅里先生行状記

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《梅里先生行状記(ばいりせんせいぎょうじょうき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 209,260 字 · 418 頁

青空文庫

と、頼んだが、かれの妻がいうには、

「あなたがそんなやさしい良人になって来たところを、わたしに去れなんて、わたしの方こそお恨みにぞんじます。まして年老ったお姑さまとどうして別れられましょう」

かの女が一家の計を細腕に支えて、田を打ち畑を耕しているすがたは、悲惨というよりはむしろ美しくさえあった。老公が、かの女の家へ、無税の田を与えまたその家を訪うたとき、

「まことの美人である」

と、いったというので、居あわせた郡吏や庄屋は、ひどくまごついた顔をしたということである。

こういう例は数えきれない。

仁を施すとか、仁政を布くとか――口のさきでは余りいわないそうだが、老公の仁は、老公のする事なす事が自然それになっていた。

土民に対してすらそうである。士に対してはもっと濃いものがあった。かつて家臣三木高之が老病のときその家に臨んで、枕辺に坐ると、ふところから杯をとり出して、

「そちも酒好きであるから、後刻、酒肴を送らせるよういいつけておいた。酒が参ったら、この杯にて、子供らと共に酒を酌み、しばし病苦を忘れたがよい」

と、携えて来た酒杯をのこして帰ったことなど、いかに日頃酒好きな藩士の士気をふるいたたせたか知れない。