輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁
かくて人々深き眠りに入り夜ふけぬれど、この火のみはよく燃えつ、炎は小川の水にうつり、煙はますぐに立ちのぼりて、杉の叢立つあたりに青煙一抹、霧のごとくに重し。
夜はいよいよふけ、大空と地と次第に相近づけり。星一つ一つ梢に下り、梢の露一つ一つ空に帰らんとす。万籟寂として声なく、ただ詩人が庭の煙のみいよいよ高くのぼれり。
天に年わかき男星女星ありて、相隔つる遠けれど恋路は千万里も一里とて、このふたりいつしか深き愛の夢に入り、夜々の楽しき時を地に下りて享け、あるいは高峰の岩角に、あるいは大海原の波の上に、あるいは細渓川の流れの潯に、つきぬ睦語かたり明かし、東雲の空に驚きては天に帰りぬ。
女星は早くも詩人が庭より立ち上る煙を見つけ、今宵はことのほか寒く、天の河にも霜降りたれば、かの煙たつ庭に下りて、たき火かきたてて語りてんというに、男星ほほえみつ、相抱きて煙たどりて音もなく庭に下りぬ。女星の額の玉は紅の光を射、男星のは水色の光を放てり。天津乙女は恋の香に酔いて力なく男星の肩に依れり。かくて二人は一山の落ち葉燃え尽くるまで、つきぬ心を語りて黎明近くなりて西の空遠く帰りぬ。