輕鬆讀懂日語經典作品
ja-reading.com
輕鬆讀懂日語,輕鬆閱讀日語。線上閱讀日語經典作品。支援在閱讀過程中顯示假名、查詢生詞、翻譯句子。
わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁
ポケットの内なるは治子よりの昨夜の書状なり。短き坂道に来たりし時、下より騎兵二騎、何事をか声高に語らいつつ登りくるにあいたれどかれはほとんどこれにも気づかぬようにて路をよけ通しやりぬ。騎兵ゆき過ぎんとして、後なる馬上の、年若き人、言葉に力を入れ『……に候間至急、「至急」という二字は必ず加えざるべからず』と言うや、前なる騎兵、『無論、無論……』と答えつ、青年の耳たてし時は二騎の姿すでに木立ちにかくれて笑う声のみ高く聞こえたり。青年はさらに路をいそぎぬ。
* *
* *
――停車場の時計、六時を五分過ぎ、下りの汽車を待つ客七、八人、声立てて語るものなければ寂寥さはひとしおなり。ランプのおぼつかなき光、隈々には届きかねつ。大空晴れて星の数もよまるるばかりに、風は北よりそよぎて夕暮れの寒さに人々は身をちぢめたり。発車にはなお十分を待たざるを得ず。
この時切符を売りはじめしかば、人々みな立ちて箱の前に集まりし時、外より男女二人の客、静かに入り来たりぬ。これ松本治子と田宮峰二郎なり。青年は切符を買いて治子に渡し、二人は人々に後れてプラットフォームの方に出で、人目を避くるごとく、かなたなる暗きあたりを相並びて歩めり。