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わすれえぬひとびと
武蔵野
国木田 独歩
線上閱讀国木田 独歩《武蔵野(わすれえぬひとびと)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 94,018 字 · 192 頁
『あの幸ちゃんが来たら散歩に行ったって、そしてすぐ帰るからッて言っておくれ、』と時田は門を出た。お梅は後について来て、
『すぐお帰んなさいナもう梅竜が来ましたから。あらお月さま!』お梅は立ち止まった。時田は橋を渡って野の方へと行ってしまった。
二時間も経ったろうか、時田の帰って来たのは。月影にすかして見ると橋の上に立っているのはお梅である。
『先生どこを歩いていました今まで、幸ちゃんがさっきから待っていますよ。』
『梅ちゃんここで何してたの。』
『先生を待っていました、幸ちゃんの用ッて何でしょう。』
『何だか知らない。何だってよいジャあないか。』
『だって何だか沈鬱いでいるようだから……もしかと思って。』
『ああ少し寒くなって来た。』
二人は連れだって中二階の前まで来たが、母屋では浪花節の二切りめで、大夫の声がするばかり、みんな耳を澄ましていると見えて粛然としている。
『幸ちゃんに今帰ったからッて、そ言っておくれ、』と時田は庭の耳門へ入った、お梅はばたばたと母屋の方へ駆け出して土間へそっと入ると、幸吉が土間の入口に立っている。
『帰って?』幸吉は低い声で言った。
『今帰ってよ、用が済んだらまたお寄んなさいナ。