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しほんたいへいき

私本太平記(三)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《私本太平記(三)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 222,108 字 · 446 頁

青空文庫

「何だ、しごく静かなご容子ではないか。物狂わしいご悲嘆だなどと、いちいち大げさに、告げてまいるな」

「いや、たった今、おしずまりになったもので、嘘をお告げしたのではありませぬ。あの茶汲み部屋に、妙な坊主がおりまして」

「なに。茶汲み坊主が」

「されば、その坊主が、何やら宮の前に出て、ぼそぼそお説教じみたこと長々申しおりましたが、そのうちに、ふとお諦めがついたものらしいのでして」

「はてな、そんな坊主は見えなかったが?」

「いややがて、ふらりと何処かへ失せてしまいました。乞食僧まで寝泊りする念仏道場だけに、ここには妙な者が住みおりまする」

讃岐行きの船は、十数そう、前夜から高砂ノ浜の東の川口に用意されてあった。

夜が白むやいな、武士たちは、宮をうながし、

「いざ、お船へ」

とばかり、追っ立てるように野口の念仏道場をどやどや立ち出で、そして、はや浜べに佇みあった。

馬も積む。武器、食糧などもかつぎ込む。

そして宮の船だけには、荒板の囲いが見えた。船牢なのだ。

そこの渡りの板へ向って、長井将監が、宮を拉して歩いて行きかけると、そのとき遠くで眺めていた漁夫や女子供たちの間から、