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しほんたいへいき
私本太平記(五)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《私本太平記(五)(しほんたいへいき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 252,330 字 · 505 頁
「……いちど親しく文観からそこを訊いてみたいものだ」と、道誉は、忠顕のいう悪口とは反対にひそかな興味をかられていた。
「……つまらん」
やがて、忠顕はぷッつり言った。人をそしるおのれにも嫌厭をおぼえてきたように。
「やめよう、もうそんなくだらん他人の評は。ところで、どうだな道誉、酒としようか」
「けっこうですな」
「それとも、先を急ぐか」
「いやべつに」
「殿ノ法印のところに寄って、文観と会わんでもよろしいのか」
忠顕の口うらにある嫉妬を読んで、道誉は自分の口のはしにも気をつけた。
「なんの、今道鏡などに、会わねばならぬ用は何もございません。それよりも、せっかくのこと、今日はひとつ、道誉に所望がございますが」
「なんじゃの」
「いつもお招きの遊女どもを、この水亭に坐りきれぬほど、大勢よんでいただきたいので」
「ほ。そして」
「遊び呆けるのも一快でしょうが、そのうえまた、彼女らの世界に楮銭の価値を教えてやって流行らせます。……で、あなた様にも、さきに申しあげたとおり、諸国への貢税の新制度やらその他の策を、明日にでもさっそくお上へ御建議あることを、どうぞお忘れなきように」