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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

もちろんこれは平清盛が火の病ということを知った者でなければ付けられぬ名ではあるが、ここにも胸の羽が水に映って火に見えるという話が、かつて行われていたことを推測せしめるだけでなく、事によるとこれも啼声のケロロ・キョロロが、こういう異名を誘い出す元であったかと思う。そう考えて行くと土佐や山城のミズヨロの語も偶然ではないようである。

熊本県の阿蘇地方では、チヨユミドリというのがこの鳥のことらしいが、啼声が少しちがっている。近頃はもう姿を見たり声を聴いたりする折も少ないだろうから、話ばかりが伝わればこれくらいの変化は免れないのであろう。いつも川の端に多くいる鳥で、辛夷の花の咲く頃に啼くといっている。前の生で親に偽って、飼牛に水を飲ませなかった者が、死んで生れ変ってこの鳥になった。チヨユミはその人間であった時の名だというが、これもあるいはキヨモリの類かも知れない。その牛を川の端に埋めて、牛が流れはせぬかと見てあるくというのは、この地方でいうアマガクの話、即ち前に挙げた鳶不孝の昔話との混同かと思うが、それにしても雨が降ると啼くという話はあったのである。川に沿うて下る時は川の音のようにゴーウゴーウと啼き、川を上るときにはキキキキと啼くという点は、テロロ・キョロロとは一致しないけれども、やはり川上には水が一滴もないので