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やそうざっき・やちょうざっき
野草雑記・野鳥雑記
柳田 国男
線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁
私の話は前置きが長くて、本文はかえって僅かしかないが、書いて見たいと思うことはこのあとの経験である。ホテルには毎日午前のうちに、寂しいといってもよいほど静かなる少しの時刻がある。私はその際ふと窓外の鳥の声を聴きつけて、庭に下りてまた昨日の七葉樹の蔭に行って見たが、巣は殆と元のままであって、その上の枝に二羽の親鳥が、半ば身を傾けてじっとしてその巣の中を覗いていた。何とも言われぬ位にその形があわれであった。そこで始めて心付いたことは、古来東方の故郷の国において、人が深くも考えずに粉本を伝えていた、絵様というものにも基づく所があるということであった。獣には普通子を連れた形、右往左往に遊び戯れるのを、それとなく見守っている処を絵にしているが、いわゆる花鳥には往々にしてこの日の午前の Verdier のような姿がある。それを単なる配合の面白さから、選び出して写したようにこれまでは考えられていた。即ち画は人間の美しいという尺度が定まって後に、それを自然にあてはめて合格したのを採ったものと、多くの歴史家は説明するのであるが、もう自分等はそれを信じなくてもよいと思った。