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やそうざっき・やちょうざっき

野草雑記・野鳥雑記

柳田 国男

線上閱讀柳田 国男《野草雑記・野鳥雑記(やそうざっき・やちょうざっき)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 144,016 字 · 284 頁

青空文庫

ある一つの語を選んでその他のものを棄てることが必要ならば、このように次から次へ、新たなる語が起るわけはないようなものだが、実際は前にも多くの例を挙げた如く、いつの間にか土地土地の用語は変り、その中には確かに意外なる新作があった。即ちただ交通の目的のみには、原形の保守はあるいは最上の便法であっても、人は一方に珍奇なるものを楽しみたいような余裕があって、機会のあるごとに流行を容れたのである。別の言い現わし方を用いるならば、方言の起りは一種の技術であった。従って必ずしも外部から感化を受けずとも、時の経過によって昔あったものを一変し、ちがった言語と見えるまでに、外形を改めてしまうかもしれない。そうして細かな比較考慮によらなければ、その歴史は知ることがむつかしいのである。

とにかくに我々には古語というものは幾らもあるが、安心して最初の語と信じ得るものは一つもないと思う。いわんや古いから正しいとか善いとかいうに至っては、迷信以外の何物でもないのである。イタクラ・ツバクラのクラが昔の人の聴き方であったとすれば、スズメやツバメのメもまたそうかも知れぬ。そんな声には聴えそうにもないというときは、ツバメもスズメも同様であるが、こちらは擬声と解するより以外に、別の意見もないらしいのである。