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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「何をやらかすんで」

倉賀屋の帰途、平次はこんな事を言い出すのです。

「判っているじゃないか、『さざなみ』の後を借りたんだ。――当節はなんと言っても儲けの早いのは食物屋さ」

「驚いたなア」

「驚くことなんかあるものか。手前庖丁の心得はあるかい」

「そんなものはありゃしません。十手小太刀の心得なら少しはあるが――」

「生意気なことを言うな。どうせたった一日だ。俺は帳場へ坐るから、手前は板前よ。お静は下女でお品さんに手伝って貰って、これはお座敷女中」

「大変なことになったね、親分」

ガラッ八の驚き呆れる間に、平次は着々とその支度を整えました。もっともガラッ八の板前では納まりません。知合の料理屋から、手の空いている限りの人数をカキ集め、座布団も、火鉢も、膳椀も一日のうちに運び入れて、正月の四日には、もう夜が明けると一緒に店を開いたのです。

「親分、とうとう真物ですね」

「ざっとこんなものだよ、八、表を見てくれ」

平次に言われて表に廻った八五郎。

「あッ」

さすがに驚きの声をあげました。

「どうだ八」

「あの通りだ、輪飾りも、――二階の障子も」

輪飾りを裏返しに、二階の障子の骨はこっちを向いているのです。