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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁
――ところで兄哥、町内の若いのを、虱潰しにしらべたが、お駒と引っかかりのあるのは、新吉の外には一人もねえ。泥棒にしては無くなった物がないし、――」
喜三郎はもう用談の方へ入っておりました。
「お駒は入口へ背を向けていたろうか」
と平次。
「いや、入口の方へ顔を向けて、刺された背中はお勝手を向いていた」
「お勝手の戸は?」
「内から締めて、輪鍵が掛っていたはずだ」
「お駒に気が付かないように、下手人は後ろへ廻れないわけだね」
「そのとおりだ。――下手人はお駒のよく知ってる者とまでは俺も見込みを付けた」
喜三郎もこの時ばかりは得意そうでした。
「お駒が長火鉢の前へ来て坐る前に入り込んで、押入かどこかへ隠れていたとしたら?」
「さア、そこまでは――」
平次の疑いはもっともでした。これは決して考えられないことではありません。
「お駒の死体を見た時、新吉はなんて言ったろう」
と平次。
「それはよく判っているはずだ。死体を見ると新吉はいきなり。あッとうとう――と言ったように思う」
「それで沢山だ。新吉は下手人じゃない、が、誰かを庇っている。とにかく、行ってみるとしようか」
こうして平次はいよいよこの事件に乗出す気になったのです。