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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

おまけに煙管は銀だ。あれは安くちゃ買えませんぜ」

ガラッ八はまだ頭を振っております。落雁はもう四つ目。

「さア、一人で感心していずに、ぶちまけてしまいな、――落雁が気に入ったら、箱ごと持って帰っても構わないから」

「大層気前がいいんだね、親分」

「馬鹿にするな」

平次と八五郎はこう言った、隔てのない心持で話し合っております。

「親分も知っていなさるだろう、神田相生町の、河内屋又兵衛――」

「界隈で一番という家持だ、知らなくてどうするものか」

外神田の三分の一も持っているだろうと言われた河内屋又兵衛、万両分限の大町人を、平次が知らなくていいものでしょうか。

「大旦那の又兵衛――金はあるが倅夫婦に死に別れ、孫の喜太郎という十一になる男の子とたった二人、奉公人と小判に埋まって暮している」

「それがどうした」

「その河内屋へ昨夜泥棒が入ったんで――」

「金は取らずに、その豪勢な懐中煙草入を置いて行ったと言うんだろう」

「その通り」

「それっきりかえ」

「お気の毒だが、根っ切り葉っ切りそれっきりで」

「呆れた野郎だ。落雁だけ無駄になった。お静、箱を片付けた方がいいよ」

平次は笑っております。