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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

が、床屋の店先で、遠慮もなく親分の悪口をまくし立てるのは、憎いじゃありませんか。一番憎い口をきいたのは、遊び人の――」

「そいつは聴かない方がいい、――なア八、憎いのは町内の衆じゃなくて、人間を牛蒡や人参のように斬って歩く、辻斬野郎じゃないか」

「…………」

平次はツイ、無法な殺戮者に対する、鬱積した怒りを爆発させます。

「二本差同士ならともかく、町人まで斬って歩くのは我慢がならねえ。八、手を貸してくれるか」

「そいつは危ないぜ、親分、辻斬は大抵、腕自慢が嵩じた野郎だ」

「どんな腕の出来る人間でも、悪業が積めば年貢を納める時が来るものだ、――俺はきっと辻斬野郎を縛ってみせる。年寄りや女子供まで斬って歩くような野郎を、どんな大身だって勘弁しておくわけに行かない」

平次は拱いた腕をほぐしました。眉宇の間に、何やら決断たるものが閃くのでした。

「親分、早速出かけましょうか」

そう言い聴かされるとガラッ八は、大江山へ酒呑童子でも退治に行くような気組です。

「辻斬はまだ朝寝をしているよ」

「違えねえ」

「だがな、八、無暗に歩いても、いつ辻斬に逢うか見当が付かねえ、――まさか鐘太鼓で捜すわけにも行くめえから、少し物事に順序を立てて考えてみようじゃないか」