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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁

青空文庫

「それを追い込んで来ると、曲者はこの路地に逃げ込みました。外に逃げるはずはございません。路地の中で、表の開いているところというと、お宅ばかり――」

「何だと――」

小田巻直次郎は立上がった様子です。

「もしや、曲者が飛込んではいませんでしょうか。ちょいと摘んで、お引渡し下されば、有難うございますが――」

「黙れ」

「ヘエ――」

「この小田巻直次郎が、辻斬や剽盗をかくまっているとでも言うのか」

「とんでもない、先生」

「そう申すなら、如何にも家捜しでも何でもさしてやる。その代り、もし曲者が居なかったら、その方の首を申受けるぞ」

「ヘエ――」

障子をガラリと開けると、中は小さい居間、長火鉢の銅壺に徳利を突っ込んで、甜め物を二つ三つ猫板に並べ、一人者の気楽に独酌をやっている真っ最中です。

「この通り、たった二た間の家だ。あとは台所に、押入に、雪隠、匿す場所も、隠れる場所もあるはずはない。踏込んで、床下なり天井裏なり、勝手に捜せ」

「ヘエ――」

そう言いながらも平次は、上がり框からザッと眼を配りました。小田巻直次郎が言うとおり、隠しようもない狭い家の中、これで押入と便所の戸を開けて貰えば、一ぺんに見通せるわけです。