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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(一)平次屠蘇機嫌(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 156,866 字 · 318 頁
組屋敷で軒並嘗めた屠蘇が、今になって一時に発したのでしょう。
「親分、あぶないじゃありませんか」
「何を言やがる。危ねえのは手前の顎だ、片付けておかねえと、俺の髷節に引っ掛るじゃないか」
「冗談でしょう、親分」
二人は黒板塀を繞らした、相当の構えの門へ繋がって入って行きました。
真新しい看板に『さざなみ』と書き、浅黄の暖簾に鎌輪奴と染め出した入口、ヒョイと見ると、頭の上の大輪飾りが、どう間違えたか裏返しに掛けてあるではありませんか。
「こいつは洒落ているぜ、――正月が裏を返しゃ盆になるとよ。ハッハッ、ハッハッ、だが、世間付き合いが悪いようだから、ちょいと直してやろう」
平次は店の中から空樽を一挺持出して、それを踏台に、輪飾りを直してやりました。
「入らっしゃい、毎度有難う存じます」
「これは親分さん方、明けましてお目出度うございます。大層御機嫌で、へッ、へッ」
帳場にいた番頭と若い衆、掛け合いで滑らかなお世辞を浴びせます。
「何を言やがる、身銭を切った酒じゃねえ、お役所のお屠蘇で御機嫌になれるかッてんだ」
「へッ、御冗談」
平次は無駄を言いながら、フラリフラリと二階へ――