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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十五)茶碗割り

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十五)茶碗割り(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 109,804 字 · 225 頁

青空文庫

三輪の親分に先手を打たれちゃ業腹じゃありませんか」

ガラッ八は一生懸命に説き立てました。

「証拠は一つもない。贋金が一つでもあの家にあれば縛れるが、――でなきゃ、あの晩、直助が外へ出たと判れば――」

「行ってみましょう、親分。ここで考えたって何にもなりませんよ」

「そうしようか」

平次はとうとう出かけました。甚だ自信のない姿です。

丸山町へ行って崖の下の方から見ると、直助の家は竹林の上に屋根だけ見せますが、竹林の中には人間の歩いた様子はなく、第一、竹林の外の枳殻垣は、見事に繁って猫の子ももぐれそうにはありません。枳殻垣の外には椎の樹が二三本、それは近所の洗濯物の干場に利用されてあります。表へ廻ると、直助とお辰はけろりとして迎えました。

「たびたび御苦労様で――、二階から今日はよく富士が見えます。邪魔な竹の芯を止めて、よく眺めのきくようにしました。どうぞ」

直助兄妹が先に立って二階へ案内します。なるほど障子を開けると、庇に冠さるように繁った竹を十本ばかり、梢の方二三間切ってしまって、下枝は青々と残したまま、その上から小石川の高台も富士も見えるようにしてあります。