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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

「すると?」

富五郎は四方を見廻しましたが、そこには寺方も武家屋敷もあり、何事を目当てに捜しようもありません。

権次の懐ろを探りましたが、百も持ってはいず、手拭に包んで腹掛の底に潜ませたのは、一と束の鍵だけ。権次は鍵や錠前の直しもやったのですから、これも商売道具の一つと言ってしまえばそれまでです。

「八、もういちど中富坂へ行ってみよう、――俺は見落したものがあるような気がする」

平次は八五郎に合図をすると、そこはそのままにして、もういちど権次の家へ行ってみました。

「ここには何もありませんぜ、親分。この間天井裏から床下まで見たじゃありませんか」

「いや、もうお前を床下へ入れるまでもあるまい」

平次は家の中へ入ると、いきなり商売道具のフイゴに手を掛けました。

「そのフイゴは損じていると言ったようですね」

「それを思い出したんだ――この通りだ。持ち上げてみるがいい」

「へッ」

八五郎は小さいフイゴに手を掛けましたか、何が入っているのか、容易に動きません。

「かまわないから打ちこわしてみろ」

「ヘエ」

平次とガラッ八は一と骨折って頑丈なフイゴをこわしました。中から出たのは、ザクザクと真新しい小判、ざっと小千両もあるでしょう。