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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
「支配人の半九郎は、ただの奉公人か」
「いえ、遠い親類だと申すことでございます」
「ところで、この家に、田舎で育った者があると思うが――」
平次の問いは妙な方へ飛びます。
「下女のお文と、飯炊きのお今は田舎で育ちました。お文は房州で、お今は相模で、そんなものですね」
「男では」
「男は皆んな江戸生れです。支配人も、私も、与七さんも」
「その与七さんというのは?」
「先代が亡くなった大旦那と懇意だったそうで、奉公人とも客とも付かず、三年前からおります」
「その男に逢ってみよう」
平次はひどく好奇心を動かしたようです。
が、逢ってみて驚きました。暗がりから牛を曳出したような男というのは、この与七のためにできた形容詞でしょう。いちいち噛みしめてから物を言うような、言葉も動きも、恐ろしくテンポの遅い人間で、二た言三言話していると、ジリジリ腹が立って来るのです。
「お前さんは与七さんだね」
「ヘエ、――世間では――そう申します」
二十五六の良い若い者が、すべてこの調子で受け答えをするのでした。
「世間でそう言うから、与七みたいな気がするというのかえ」
「ヘエ」
平次はツイ、ポンポンやりました。