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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
――たったそれだけのことで」
噛みしめながら物を言うくせに、この男には恐ろしく遠慮のないところのあるのを見てとると、平次はもう少し突っ込んで訊く気になったのです。
「今朝、倉の扉を開けたのは誰だえ」
「栄吉どんの役目です。今朝に限ったことじゃありません。毎朝顔を洗うと、帳場から鍵を持って行って土蔵の大戸を開け、それから中へ入って、二階の窓を開けるんです」
「それから誰も倉へ入った者はあるまいな」
「そいつは判りません」
与七はキナ臭い顔をするのでした。
「ところで、外にかわったことはないのか」
「かわったことというと、この間から変なものが無くなりますよ」
「変なもの?」
「役にも立たないものが無くなるんで」
「例えば?」
「火箸が無くなったり、鉄瓶の蓋が無くなったり、足袋が片っぽ無くなったり、貝杓子が無くなったり、支配人の煙草入が無くなったり、私の紙入が無くなったり」
「フーム」
「まだたくさん無くなりましたよ。筆、墨、矢立、徳利、お嬢さんの手箱の鍵、用箪笥の鍵、お今どんの腰紐、お万さんの簪、お文どんの櫛、――」
「それは大変なことじゃないか」
「もっとも、たいがい出て来ました。