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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(十四)雛の別れ
野村 胡堂
線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁
物蔭に隠れていた――茂野の脇差が、そこを突いて出たとしたら、娘の細腕でも、背後へ突き抜けるわけではないか」
「フーム」
ガラッ八は唸りました。あまりにも明らかな推理です。
「城弾三郎は心の臓を刺されて、声も立てずに川へ落ちると、茂野は一度外した仕掛けの板を、元通り結んでおいた――恐ろしく落着いた娘だが、悲しいことに素人の、それも小娘の手では本当の縄の結びようが出来ない。板を縛った縄の結び目と、背後へ突き抜けた脇差を捨てて逃げたのと、泥の中に深く入った履物と――そんなものが揃うと、あの晩二度まで薬取りに出た茂野が怪しくなるではないか」
「解りました。それで、この先どうするんです、親分。あの娘を縛るんですか。――可哀想に」
「どうもしないよ」
「?」
「こんな証拠じゃ人は縛れない。みんな俺の夢物語だよ。――城弾三郎を殺した下手人はやはり高木勇名さ、それでいいじゃないか。親心を無にしちゃいけない。俺はこの手紙を八丁堀の笹野の旦那にお目にかけるよ。――お松と時次のことが気になるというのか、あきらめるがいい。お松はあんなにまでして、時次をかばっているじゃないか。時次は死骸の懐ろを探るようなケチな野郎さ。