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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(十四)雛の別れ

野村 胡堂

線上閱讀野村 胡堂《銭形平次捕物控(十四)雛の別れ(ぜにがたへいじとりものひかえ)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 114,139 字 · 233 頁

青空文庫

ガラッ八の覚束なさ。

「俺にも分らないよ。もういちど京屋へ行ってみよう。何か見落したことがあるかも知れない」

平次もこうなるとかん一つで辿る外はありません。

京屋は一と騒ぎ済んでようやく落着きを取戻し、足りないながら倅の善太郎が家督を継いで、久助の後見で、どうやらこうやら家業をつづけておりました。

「変りはないかえ」

ヌッと入った平次と八五郎。

「これは親分さん方、こちらには何の変りもございません。ヘエ」

久助は篤実らしく手を揉みます。

「もういちど主人の寝間を見せて貰いたいが」

「ヘエ、どうぞ」

平次は奥の八畳に入って、念入りに雨戸を締めさせたまま、一生懸命何やら考えておりましたが、やがて、

「八」

「ヘエ――」

「曲者は主人を殺してから外へ出て、雨戸をコジ開けることも出来るわけだな」

「?」

八五郎にはその意味が通じなかった様子です。

「外から入ったと見せたのは、曲者の器用な細工だったよ。家の中の者がここへ忍んで来て主人を殺し、それから雨戸を開けて外へ出て、外から鑿で雨戸を開けて、泥足で入って来たとしたらどうだ」

「?」

「これだけ厳重に戸締りして、印籠ばめになっている雨戸を、外から曲者がこじ開けるあいだ、主人は何にも知らずにグウグウ眠っているはずはあるまい」