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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
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弦之丞が出て行ったあと。
時雨堂では、俵一八郎と万吉が、だんだんと話をすすめて、宝暦の変以来、阿波の秘密を見破ろうとしてつぶさに苦心を舐めてきた実情を明かしたので、銀五郎も、さてはそうであったかと、初めて疑いを晴らして次には、自分の素姓や、お千絵様と世阿弥との境遇も、つつまず二人の前へ語ることになった。
こう打ち明け合ってみれば、十年前に甲賀世阿弥が阿波へ入った目的も、宝暦以来、一八郎や常木鴻山が心を砕いていた目的も、偶然、ピッタリと一致していることが明瞭になった。
初めからすべてが分り合っていれば、万吉も、無論二人を助けたろうし、銀五郎や多市も、こんなにまで苦労をせずに、今頃は、首尾よく阿波へ入り込めていたのかもしれないのだが、見返りお綱に、あの紙入れを掏られた一事が、糸のもつれとなりはじめて、何もかも蹉跌してしまったのは、よくありがちな運命のいたずらともいうべきもので、是非のないことである。だがしかし、これから先は、阿波という大きな謎の鍵を握るために、どこまで、お互に力を協せてやろうではないか。と俵一八郎は、余の者をはげまして、意気軒昂たるものがある。