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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

……まったく妙な所で会いましたねえ」

「じゃ、ここの旅川周馬という者とお前とは、ずっと以前から懇意なのか」

「いいえ、時々賭場で落ちあうので、懇意というのでもないけれど、二、三百両ほどの立て替えがあるんですよ……あ、こんな話は目明しさんには禁句だっけ、ご免なさいよ、ホ、ホ、ホ、ホ」

「なに、目明しは目明しでも、この万吉はほかに大きな望みを賭けている体だ。ケチな十手をピカつかせることはしねえつもりだから、お上の者とひがまねえで、何なりと明けすけに話してくれ」

「じゃ、女掏摸でも捕まえませんか」

「さア、そいつは、どうともいえねえが、見返りお綱という人には、住吉村で助けられた恩義がある。そいつを忘れちゃすまねえからな……」

「恩も糸瓜もありませんが、どうか、さっきもいった通り、一度妻恋の私の家へ来て下さいな」

「そして何だか相談があるといったが」

「エエ、法月さんのその後の様子を、よくご存じのようですから、それやこれやも聞きたいし……また私の思い余っていることも……」

口ごもって、お綱は、フイと心に何ものかをえがく様子である――打出ヶ浜の夜寒から、月夜の風邪はいっそう根深いものとなったらしい。