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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

まだそればかりじゃない、あのお十夜頭巾を、寝てまでとったためしがないんだもの……」

梯子段をふむ音がしたので、二人の湯女はびっくりして奥のほうへ隠れてしまった。だが、そこへ来たのは噂をしていた者ではなく、丹前を着た別なお客、太り肉でいい年をして、トロンとした目で手拭を探している。よくもよくもこの家の軒下には、やくたいもない人間ばかりがたむろをしているとみえて、ひょこひょこと出てくる者が、一人としてロクな人物ではない。

ひとつ二階を覗いてみようか。

梯子を上がると鐚文部屋、ビタモン部屋というのは小銭百文か二百文で湯札を買って、半日ここで湯気をさまして遊んでいる、金にならないお客をさす湯女の悪口。碁、将棋、貸本、細見などが散らかっているが、ここは七刻限りといって夕方は追い出しとなり、夜は屏風を立て廻して、ボロ三味線に下手な甚句や弄斎節がはじまるのである。

あとは小部屋がいくつもある。

その一番奥のかけ離れた二間つづき、裏梯子があるので人と顔を合せずに出入りができるので、喜撰では特別いい部屋としてある。

そこには、お十夜と、そして周馬。

いろんなことのあてが外れて、少しばかり、やけのやん八気味――けさもまだ起きないで、