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なるとひちょう

鳴門秘帖(一)

吉川 英治

線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。

N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁

青空文庫

自分だとて――女スリのお綱だとても――まだ若い女だもの。

奥座敷の客が呼びこんだのであろう、初春らしい太神楽のお囃子が鳴りだした。

外には羽子の音、万歳の鼓――。そして、ふと万吉の耳に、角兵衛獅子の寒げな太鼓が耳についた。

楊子をくわえて、二人が茶屋の軒を出たのは、それから間もないことであった。ちょうど、陽もころあいに暮れてきた時分――。

すると、その出合いがしらに忍川の方から、いっさんに、バラバラッと駈けてきた二人の角兵衛獅子があった。

オヤ? と目をみはっていると、すぐ駈けつづいてきた三人の浪人に追い詰められて、向うの空地でヒーッという悲鳴を揚げた。

いきなり、殴りつけられたものらしい。

「ごめんなさい! ご免なさい! ……」という泣き声まじりに、おさないお獅子が二人、地べたへ蹴仆されていた。

「なんだなんだ、喧嘩か」

「喧嘩じゃねえ、いつも来る角兵衛獅子だ」

「可哀そうに、無礼打だ、浪人に何かして斬られるところだ」などと、もう口々にいって、それを見かけたあたりの弥次馬が、ワラワラと寄って人垣を作る。

万吉は足をすくませて、

「お! ありゃいつぞや、外神田の飯屋で見かけた、お三輪と乙吉――」