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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
線上閱讀吉川 英治《鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)》,假名注音日語閱讀。JLPT N2,點詞查義。
N2 · 挑戰 · 新字新假名 · 262,100 字 · 523 頁
「なアんだ、くだらないことを」
「だって、怪我をしている多市さんの容体も、いいのか悪いのか気にかかるんですもの」
「お前は、それでわざわざやって来たのかい」姪の甘えるような言葉を、そのままの意味で聞いた半斎は、クックッ笑いながら線描きの大津絵に、紅や黄土を塗りはじめる。
「ね、おじさん、あの方たちは奥にいるの?」
「それがさ、奥へおけるようなら心配はないが、病人の傷が癒るまで、匿ってくれというお前の方からの注文だろう、ところがここは街道筋で、わけても人目に立ちやすいから、実は関明神の下で、時雨堂という一軒家が、庵主様がおるすなのを幸いに、そこを借り住まわせてあるんだよ」
「ほんとに、いろいろご苦労をかけてすみませんでした。そしてあの多市さんの傷は」
「大津から外科をよんだり、薬風呂をたてたりして、あの銀五郎という親分が、親身になって世話をするので、だいぶよいという話だ」
「それはよいあんばいでございました」お米は店の壁にかけてある金泥の仏画に眸をうつしたり、袂の端をいじったり、何かもじもじしていた後に、やッと心の奥のものを持ちだした。
「そしておじさん、あの若い虚無僧の方も、まだご一緒にいるでしょうね」