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さんごくし
三国志
吉川 英治
Read 三国志 (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 161,356 characters · 323 screens
四
曹操は、その弱冠なのに、眼をみはって、
「あわれ、この青二才は、何者か」
と、うしろへ訊いた。
「袁紹の子三男袁尚です。それがしが承らん」
と、鎗をひねって、躍りでた者がある。徐晃の部下、史渙だった。
彼の鋭い鎗先に追われて、袁尚はたちまち逃げだした。のがさじと、史渙は追いまくる。すると袁尚はしり眼に振向いて、矢ごろをはかり、丁と弓弦を切って、一矢を放った。
矢は、史渙の左の目に立った。
どうっと、転び落ちる土煙とともに、袁紹以下、旗下達も、声をあわせて、御曹司袁尚の手柄をどっと賞めたたえた。
四
我が子の武勇を眼のあたり見て、袁紹も大いに意を強めた。
その装備においても、兵数の点でも、依然、河北軍は圧倒的な優位を保持していた。接戦第一日も、二日目も、さらにその以後も、河北軍は連戦連捷の勢いだった。
曹操は敗色日増しに加わる味方を見て、
「程、何としたものだろう」とかたわらの大将にはかった。
程※(「日/立」、第3水準1-85-21)は、この時、十面埋伏の計をすすめたといわれている。
曹操の軍は、にわかに退却を開始し、やがて黄河をうしろに、布陣を改めた。