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さんごくし
三国志
吉川 英治
Read 三国志 (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 161,356 characters · 323 screens
四
「袁譚の首を挙げたぞ。曹洪、袁譚の首を打ったり」
という声が、々、吹雪のように駆けめぐると、城兵はわっと戦意を失って、城門の橋を逃げ争って駆けこんだ。
その中に、郭図の姿があった。曹軍の楽進は、
「あれをこそ!」
と、目をつけ、近々、追いかけて呼びとめたが、雪崩れ打つ敵味方の兵にさえぎられて寄りつけないので、腰の鉄弓をといて、やにわに一矢をつがえ、人波の上からぴゅっと弦を切った。
矢は、郭図の首すじをつらぬき、鞍の上からもんどり打って、五体は、濠の中へ落ち込んで行った。楽進は首を取って、槍先にかざし、
「郭図亡し、袁譚亡し、城兵ども、何をあてに戦うか」と声かぎりに叫んだ。
南皮一城もここに滅ぶと、やがて附近にある黒山の強盗張燕だとか、冀州の旧臣の焦触、張南などという輩も、それぞれ五千、一万と手下を連れて、続々、降伏を誓いに出てくる者が、毎日ひきもきらぬほどだった。
四
楽進、李典の二手に、降将の張燕を加えて、新たに十万騎の大隊が編制されると、
「并州へ入って、高幹に止めを刺せ」と、曹操はそれに命令を下した。
そして自身はなお幽州へ進攻して、袁煕、袁尚のふたりを誅伐すべく準備に怠りなかったが、その間にまず袁譚の首を、城の北門に梟けて、