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さんごくし
三国志
吉川 英治
Read 三国志 (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 161,356 characters · 323 screens
二
「これまで」と、関羽は青龍刀を引いた。
うかと、柄を握っていた孔秀は、あっと、鞍から身を浮かして、佩剣へ片手をかけたが、とたんに、関羽が一吼すると、彼の体躯は真二つになって、血しぶきとともに斬り落されていた。
あとの番卒などは、ものの数ではない。
関羽は、縦横になぎちらして、そのまま二夫人の車を通し、さて、大音にいって去った。
「覇陵橋上、曹丞相と、暇をつげて、白日ここを通るものである。なんで汝らの科となろう。あとにて、関羽今日、東嶺関をこえたり、と都へ沙汰をいたせばよい」
その日、車の蓋には、ばらばらと白い霰が降った。――次の日、また次の日と、車のわだちは一路、官道を急ぎぬいて行く。
洛陽――洛陽の城門ははや遠く見えてきた。
そこも勿論、曹操の勢力圏内であり、彼の諸侯のひとり韓福が守備していた。
二
市外の函門は、ゆうべから物々しく固められていた。
常備の番兵に、屈強な兵が、千騎も増されて付近の高地や低地にも、伏勢がひそんでいた。
関羽が、東嶺関を破って、孔秀を斬り、これへかかってくるという飛報が、はやくも伝えられていたからである。
――とも知らず、やがて関羽は尋常に、その前に立って呼ばわった。