Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
「警固の手配などは?」
「判らぬ」
「わしを、頼みにはしておらんであろうな」
「しておらぬ」
小太郎は、そういって、微笑した。
「女だの、仇討だのと、申すものは、小太、ちょいちょいとして、ちょいちょいと、済ましてしまわんといかん。男子一生の精魂を傾けて為す程のことではない」
庄吉が
「旦那、お春は?」
益満は、見向きもせずに
「無事だ」
と、云って、小太郎に
「わしの、今度、京へ上るのは、小太」
益満は、声を低くして
「倒幕の機運が近づいたからじゃ」
小太郎は、じっと、益満の眼を凝視めて、頷いた。
「江戸で入用の金をな、取りに――何んと、庄吉」
「へい」
「あの調所が、一生かかって積立てた金が、我等同志の役に立つとは、不思議なことではないのか。調所が、自害せなんだなら、今でも、手がつけられんが――こう考えてくると、巾着切一人の手柄だの」
「益満さん、その手柄に免じて、一つ、小太郎さんを、お助け下さいませんか」
「暇があればの。わしは、今夜、三条小橋の池田屋で泊る。七日、十日は、逗留しておろう。万一の時には、知らせるがよい。当にせんとな」
小太郎は、頷いた。
「深雪、わしと一緒に、京へ来るがいい。