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ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(三)酒屋火事
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 146,725 characters · 298 screens
「それが厄介で、いよいよこの家から、縄付を出さなきゃアなりません」
「やはりあの女で――」
「いや考え違いなすっちゃいけません、御新造は何にも知りはしません」
「ヘエ――」
「風呂場から吹矢を盗んで、外へ捨てて相棒に土の中へ踏み込ませたり、柄杓の底へ仕掛けをして、外から毒を持ち込んだように見せたり、恐ろしい手の込んだ細工をして、私の眼を誤魔化そうとしましたが、曲者の片割れは、やはりこの家の中にいるに相違ありません」
「誰です、その野郎は、早く縛って下さい」
「いや、そう手軽には行きません。田代屋一家を鏖殺にしようという曲者ですから、一筋縄では行きません、もう一刻経てばこの家にいる曲者と、外にいる仲間と、一ぺんに縛る手筈が出来ております」
「田代屋一家を怨む者というともしや――?」
「気がつきましたか旦那、あれですよ、丸橋忠弥の一味――」
「エッ、家の中の誰がその謀叛人の片割れです、太い奴だ」
「シッ、静かに、人に聴かれちゃ大変――つかぬ事を訊きますが、あの奉公人とも養い娘ともつかぬお秋――、あの女の身許がよく判っていましょうか」
「いや――そんな事はありゃしません。あの娘に限って」