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ぜにがたへいじとりものひかえ

銭形平次捕物控(三)酒屋火事

野村 胡堂

Read 銭形平次捕物控(三)酒屋火事 (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 146,725 characters · 298 screens

Aozora Bunko

二

「不足らしい事を言うな、細工の細かいところを見ると、相手は容易じゃねえぞ。甘く見ると、とんでもねえ目に逢わされる」

「ヘエー、そんなもんですかねえ」

腑に落ちないながら、ガラッ八はその日から巣鴨へ詰めることになったのです。

二

「親分、大変だッ」

「何だガラッ八、相変らず騒がしいじゃないか。そんなに泡食わずに、静かに物を言えッ」

「それが静かには言えねえ、何しろ巣鴨から一と息に駆けて来たんだ」

「どうしたッてんだ。地蔵様が踊り出したとでも言うのか」

「そんな事なら驚きゃアしねえ、どうせ毎朝人肌に暖まっていようというあらたかな仏様だ」

「おや、変に落着いてるじゃないか、何が一体大変なんだ」

銭形平次も、少しばかり乗気になります。

「黒木長者の当主孫右衛門と、土地の百姓とが睨み合いになったんだ、今にも血の雨を降らそうてえ騒ぎ――」

「言う事が大きいなア、睨み合いの元をただせば何だ」

「それが、例の怪物――、何しろ青銭や鐚銭を、板銀や一分金に変えるというあらたかな地蔵様だ。慾張りで通った黒木長者が、自分の畑にある地蔵様だから、屋敷内に移して祀って上げるって言い出したのも無理はあるめえ」