Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
ぜにがたへいじとりものひかえ
銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ
野村 胡堂
Read 銭形平次捕物控(八)お珊文身調べ (ぜにがたへいじとりものひかえ) by 野村 胡堂 (のむらこどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 143,455 characters · 290 screens
もうここへ出ちゃならえぞ、解ったか――南無阿弥陀仏」
平次が月の庭へ手を合せて拝むと、お駒も、佐吉も、ガラッ八も、釣られたように、念仏を称えて、白々とした庭を眺めやるのでした。
翌る日、お駒は溜った給料を受取った上、外に手当百両を貰い、平次とガラッ八に送られて、故郷の越後へ発ちました。確かな道伴を見付けて、板橋から別れる時、
「親分、この御恩は忘れません」
お駒は何べんも何べんも繰り返して、江戸へ引返す平次の後ろ姿を拝んでおります。半面大焼痕の女ですから、道中もまず無事でしょう。平次は重い荷をおろしたような心持で、ガラッ八と一緒に帰って来ました。
「ね、親分、あの下手人は玉紫とかいう花魁の幽霊なんですかい」
とガラッ八、少し獅子っ鼻がキナ臭くうごめきます。
「馬鹿ッ、幽霊が人を殺してたまるもんか」
「すると」
「お前だから話すが、人に言うな、あれはみんな、お駒の細工さ」
「ヘエ――」
「お勝手からそっと出て、遠廻りして庭木戸を入って、姉の仇を討つつもりだったんだよ。帰る時は身体が軽いから、羽目を越して下肥汲の通る細い路地から、アッという間に自分の部屋へもぐり込んだのさ――」