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ひだのかいだん
飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選
岡本 綺堂
Read 飛騨の怪談 新編 綺堂怪奇名作選 (ひだのかいだん) by 岡本 綺堂 (おかもときどう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 130,271 characters · 263 screens
泊めて遣ってもいいものを、怖い怖いと無理に追い出してしまって、あの人も今頃は山道で困っていなさるだろう。気の毒を通り越して、悪いことをしたような気がしてならねえ。
おつや 好いことか悪いことか知らないけれど、あんな気味の悪い人はジャンジャン追っ払ってしまった方が無事だわ。
重兵衛 不人情なことを云うなよ。
(重兵衛は気が済まないような顔をして、炉に枝をくべている。おつやは太吉に茶を飲ませている。梟の声。下のかたより村の青年団員二人、詰襟の洋服に巻ゲートルの姿にて、灯を入れない提灯を持ちて出づ。)
青年甲 今晩は……。
おつや あら、又だれか来たよ。
重兵衛 (立って戸をあける。)おお、青年団の人達か。まあ、こっちへ這入りなさい。
(青年団二人は内に入る。)
おつや いらっしゃい。皆さんはどうして今頃……。
青年甲 実は駐在所から頼まれてね。
青年乙 こっちの方へ捜索に来たんだ。
重兵衛 だれか家出でもしたのかね。
青年甲 人殺しの犯人が今夜この山へ入り込んだと云うのだ。
重兵衛 (おどろいて。)人殺しか。そりゃあ大変だ。
おつや あ、ちょいと……。(進み出る。