Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

さんごくし

三国志

吉川 英治

Read 三国志 (さんごくし) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 161,356 characters · 323 screens

Aozora Bunko

記憶せよ、玄徳は漢室の宗親であることを」

「だまれ、予は、天子の勅をうけて、叛くを討ち、紊すを懲らす。汝もまた、その類でなくて何だ」

「いつわりを吐き給うな。君ごとき覇道の奸雄に、なんで天子が勅を降そう。まことの詔詞とは、ここにあるものだ」と、かねて都にいた時、董国舅へ賜わった密書の写しを取りだし、玄徳は馬上のまま声高らかに読みあげた。

その沈着な容子と、朗々たる音吐に、一瞬敵味方とも耳をすましたが、終ると共に、玄徳の兵が、わあっと正義の軍たる誇りを鯨波としてあげた。

いつも、朝廷の軍たることを、真っ向に宣言してのぞむ曹操の戦いが、この日はじめて、位置をかえて彼に官軍の名を取られたような形になった。

彼が憤怒したこというまでもない。鞍つぼを叩いて、

「偽詔をもって、みだりに朝廷の御名を騙る不届き者、あの玄徳めを引掴んで来いっ」

眦を裂いて命じた。

「おうっ」と、吠えて、許がすすむ。

迎えたのは趙雲。

戟、剣、馬蹄から立つ土けむりの中に、戛々と火を発し、閃々とひらめき合う。

勝負――つくべくも見えなかった。

関羽の一陣、横から攻めかかる。

張飛の手勢も、猛然、声をあわせて、側面を衝いた。