Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,229 characters · 389 screens

Aozora Bunko

二

二

恋をゆずる気持ほど、悲惨な心はないであろう。

とすれば。

今の丹下左膳ほど、暗い胸のうちもまたとあるまい。

三方子川尻の漁師、六兵衛の家に、萩乃と源三郎をそのままにして、心の暁闇をいだいてたちさった左膳。

アアもうふつふついやだ、うるさいことは……期せずして、あの櫛巻の姐御と同じ心境にたちいたったが。

その、世を捨てた気の丹下左膳――左膳だけに、その捨て方がちょっと違う。

「おれの力ひとつで、なんとかしてこけ猿を見つけだしてえものだ。はじめ与吉が盗みだしたのを、あのチョビ安が引ったくって走り、それがおいらのふところに飛びこんだのだから、あの最初の壺こそは、真のこけ猿に相違ねえのだが、それがいつのまにか転々の、数かぎりもない偽物が現われて、こけ猿はいまどこにあるやら?――こうなりゃア、天下の茶壺という茶壺をかたっぱしから手にいれるだけだ。それには、宇治へ上下する茶壺道中をねらい……ウム! どの大名の壺にも、供の侍がおおぜいいることだから、ひさかたぶりにおれも、この濡れ燕も、思うさまあばれられようというものだ。こいつはうめえところへ気がついたぞ」

ニンマリ笑った左膳、見つけしだい壺の行列をおそって、斬って斬ってきりまくり、それでやっと、萩乃をあきらめたせつなさを忘れようというので――旅に出るといったって、