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たんげさぜん

丹下左膳

林 不忘

Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,229 characters · 389 screens

Aozora Bunko

四

「ごめん!」

とうめきざま! 血迷ったか丹波、突然その釣瓶落しを振りかぶるが早いか、それこそ、秋の日ならぬ秋の霜、秋霜烈日のいきおいで、大上段に斬りつけたのです。

源三郎へ?

四

峰丹波の烈刀、釣瓶落しは、やにわにうなりを生じて動発した。

当の相手、伊賀の源三郎へ向かって?

否!

かたわらに立っていた、判定役の柳生対馬守……実は田丸主水正を目がけて。

これが本当の対馬守でしたら、ちっともあわてずに、手にしていた扇子で釣瓶落しの白刃をみごとに横にはらい流した――などという、よく名人妙手にまつわる伝説的逸話が、もうひとつふえたかもしれないが。

そこは悲しいかな、偽物の柳生対馬守。

だいたいこの江戸家老というものは、殿様がお国詰めのあいだ、在府の諸家諸大名と交際するのが、その本業。

いわば外交官。

いくら武をもって鳴る柳生藩の家老でも、どっちかといえば文官であって、主水正、武人ではない。

ですから。

このとき主水、すこしもさわがず――とはまいりません。

おおいにさわいだ、見苦しいまでに。

「ナ、何をする! これ、気でもふれたか」

泣くような悲鳴をあげて、横っとびにスッ飛んだ主水正、今まで気どりかえっていた殿様役も、すっかり忘れて、