Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,229 characters · 389 screens
武骨者ぞろいの道場には、ちょいと珍しい渋い咽喉を聞かせて、そのまま、ガタン、ピシャッ! 戸をしめようとすると、その雨戸のすき間に、つぶされたようにはさまっているものがある。
「なんだ、これは……」
その、半分ほど座敷のほうへしめこまれているものを、足もとをすかしてよく見ると……。
姫ゆりの花。
風流です――と言ってはおられない。何者がなんのために、この部屋の外へ、姫ゆりの花などを持って来たのか?
しかも、庭から忍んで。
不知火の門弟一同、さっと丹波の顔へ眼を集めた、指揮を求めるように。
「左近、もう一度雨戸をあけて、その花を取ってみるがよい」
そこで左近が、また雨戸の桟をはずし、一、二寸戸を引いて、すき間からその姫ゆりを抜き取ってみますと……果たして、茎に、一枚の紙片がむすびつけてある。
誰かが庭づたいに来て、これを雨戸のすきへ押しこめたのち、ドンと戸をたたいて逃げて行ったのだ。
どこから?――などと、きくだけ野暮。
この庭のむこうに対峙している、伊賀侍のしわざにきまっている。
伊賀の暴れん坊……柳生源三郎の使者。
峰丹波、手のふるえを部下に見せまいと努めながら、文をひらきました。