Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
たんげさぜん
丹下左膳
林 不忘
Read 丹下左膳 (たんげさぜん) by 林 不忘 (はやしふぼう) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 196,229 characters · 389 screens
ちょうど萩乃源三郎と入れ違いに、なにが何やらサッパリわからないお露、狐につままれたような気持で父の家へ送られて行きましたが、これで見ると、この娘は、無意識のうちに、源三郎をふたたび道場へかえす役目を果たしたのです。そして、今後いかに、このお露が物語に現われてくるか?
それは後日のことといたしまして。
今。
やっぱり丹波を斬るのか、ときいた萩乃の言葉に、源三郎は無精ッたらしく首をねじむけて、
「彼が斬られるとかぎらぬサ。余が斬られるかもしれぬ」
「マア怖い!」
萩乃は団扇で顔を隠して、
「そんなことになったら、あたくしどういたしましょう。でも、やっぱりあなた様のほうが、お勝ちになるにきまっていますわ」
源三郎はこの萩乃を、いったいどう思っている? 愛しているのか、いないのか、誰にもさっぱりわかりません。
そのときです……。
雨戸の外の庭に、ポンポンと二つほど、手が鳴りました。
二
すぐ外の庭で、まるでかしわ手のように、手を打ち鳴らすのを聞いた源三郎は、ニヤッと笑って、
「拝んでやがらア」
と、つぎの間の一人へ、
「丹波から返事が来たぞ」
声に応じて、腰をかがめて縁側へ出て行った若侍が、しめ残してある雨戸から、庭前をうかがうと、すぐ下の沓ぬぎの上に、緑の小枝が置いてあるのが、室内のもれ灯に浮かんで見える。