Japanese reading practice

Read classic Japanese books with furigana

ja-reading.com

Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.

けんなんじょなん

剣難女難

吉川 英治

Read 剣難女難 (けんなんじょなん) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 243,807 characters · 482 screens

Aozora Bunko

女地獄燃ゆる大川

一

と、懐から一通の手紙を出して重蔵に渡した。

「有難う存じます。恐れいりますが、事のついでに、その灯りをお見せ下さいませぬか」

「おやすいこと……」

と、茶屋の亭主が、提灯をそれへ置くと、千浪も泣き腫れた顔を上げて、重蔵と共に、繰りひろげられる手紙の文字に息をのんだ。

女地獄燃ゆる大川

一

新九郎の置手紙を、茶店の亭主から受けとった重蔵は、すこし顫きながら、その封を切った、――封をきると共に、うす墨の文字を流した巻紙が、夜風にばらばらと四、五尺膝から吹かれてゆく。

千浪は、慌てて、提灯の明りへ袖屏風をかざした。上の梢から、雪くずれのように落花が散る、それがやむと、明りの揺らめきも真っすぐになって、乱酔の走り書を読み下してゆく重蔵の声が低くつづいた。

………………

こう認むるも、恥かしの限りに候えど、所詮、お目止まり候上はと、不面目をしのび、あいそづかしの懺悔一筆告げ参らせ候

先刻、計らざるご対面、あと定めし、ご立腹と存じ候えど、浅ましの新九郎が境界、どの面下げてお名乗り申すべくもなく、悩乱狼狽の後ろ姿、憫れ笑止ともお見のがし下されたく候

よくよくの生来にや、私めあれほどまでの立志堅固もいつか破れ、かく堕落し果てたる身の姿、吾ながら男甲斐なきを嘆じ候も、今はなかなか鐘巻自斎を打ち破ること、日輪をのぞむが如き大望と