Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
おられたえらい方じゃで、この志を無にしてはならぬし――それに、お前の母も、国へ戻って、お前一人では、淋しくもあろうし、と、申して、このわしが、慰めても、聞くまいし、あはははは、怒るな、美しい女を見ると、戯談の一つも、申したくなるものじゃ」
綱手は、蒼くなって、俯向いていた。返事が、できなかった。兵太夫は、人の上に立つ者として、女中の身の上の始末などは、意のままになると
「それで、来月早々が、よかろう、と返事しておいたが、そのつもりをして、支度をするがよい。母も、聞いたら、喜ぶであろう。支度、その外、万端のことは、浜村と、わしとで取計らってとらせる。浜村の倅は、なかなか、おっとりとして、よい男じゃ。この辺の、隼人と、柄がちがう。心得たか」
綱手は、頷いておくより外に、方法がなかった。
「嬉しいであろう、はははは、娘時分と申すものは、見ておって悪うない。国の女子にしては、珍しく美しいが、当屋敷の若い者の中では――のう、袋持」
兵太夫は、こういって、片隅の机で、何か書物をしている、袋持へ、話しかけた。
「はい」
「牧の倅と、よい夫婦だがのう」
「百城氏とで、ござりまするか」