Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
なんごくたいへいき
南国太平記
直木 三十五
Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens
益満は、火鉢越しに、覗き込んだ。
「ええ、だから、男は――庄吉だけは、末長うと思いましたに――」
「庄吉も、同じ台詞を云いよったぞ。長うはない。四五日で戻る。或いは、こういう内に戻るかもしれぬ。さ、髪を結うて、化粧をして、着物を――蔵から出して来て――」
益満は、金包を、眼でさして
「その辺へ、仕舞っときな」
「でも――」
「と、遠慮するような、昔は、仲でなかったのう。お前、湯へ行って来る間に、俺あ、肴をあつらえておかあ。何うじゃ。姿も町人なら、言葉も、上手であろう。益満休之助、神出鬼没、江戸中を――江戸中の女を、引っ掻き廻す――これが、隠れ蓑」
「腰が、淋しゅうござんせんか」
「野暮な邸の、大小棄てて、と、唄にあろう――富士春、もう一度、わしと、昔のようになってもよいぞ。それなら、このまま、町人暮しもしよう。ま、暫くは、庄吉恋し、その内、去る者、日々に疎しでのう。これでも、捨てた男ではあるまい。のう、婆あ。湯へ入って来い」
富士春は、益満の、何処をつかまえていいのか判らなかったが、包の金が多分らしいので、ほっと安心をした。そして
「では、その間、留守番を」
と、快活にいうと