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なんごくたいへいき

南国太平記

直木 三十五

Read 南国太平記 (なんごくたいへいき) by 直木 三十五 (なおきさんじゅうご) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.

N2 · advanced · modern kanji and kana · 493,291 characters · 991 screens

Aozora Bunko

高崎は、静かに、だが、決心と憤慨とに充ちた口調で、こういった。

「それでは、至急に、若者達を集めて、手筈の次第を申し聞かそう」

山田が、立上った。

「夜更けゆえ、提灯などつけては、目立っていかん。それを心得て、忍び忍びに、集まって参るよう、申しつけてもらいたい。こちらから参る者も、十分に、気をつけて、察しられぬよう廻るように――」

赤山が、山田へ、注意した。

「十分に――」

と、山田が頷いて、出て行った。

「何んという無残なことを致す輩か」

井上出雲守は、腕組をして、俯向いたまま、呟いた。

「師を呪殺し、主君を呪殺して――」

暫く、誰も、物をいわなかった。赤山が

「野村、疲れておろう。退って、休憩するがよいぞ」

「はっ、お差支えなければ、御役に立てて頂きとう存じまするが」

と、野村は、じっと、赤山を見た。

近藤隆左衛門の邸の、質素な――だが、頑丈な門を出た、和田仁十郎と、高木市助との二人は、足早に、急ぎながら

「こう早う、きまろうとは思わなんだ。先ずもって、目出度かりける次第なり、じゃ」

「うむ」

「大砲庫の鍵は、誰が、あずかっておる」

「郷田じゃ」

「お為派か?」

「うむ」