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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
Read 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) by 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 128,862 characters · 251 screens
矢場と銘酒屋風景
「信山家伝の千金丹」「そのまた薬の効能は」「たんせき溜飲食あたり」と面白くもない文句のかけあい、それが妙にぴたりときて我々もよく真似たくらい、一時は大流行。そのうち類似の競争者が現われ、二十年頃いつか退散。
入梅頃には近在の女が売りにくる「新わらや新わら」の呼び声、柄になく美しい。炎天に響く「氷やい氷」、蜜柑箱に仕入れた少々の氷を後生大事、「ところ天やてんや」と真鍮のお椀へ突いてくれる心天売り、これも声だけは冷やっこい。ブリキの缶をたたき、とてもかんしゃく持ちらしい親爺、「雨が降ってもカアリカリ」と駆け足で呶鳴る、堅いが自慢のかみなり焼。「隠元煮立て」「金ちゃんあまアい」「あまアい甘酒」、以上我々わんぱく連の書入れ。
大嫌いは「いたずら者はいないかね」と汚ないのぼりを立てて来た石見銀山鼠取り、「小児五かん驚風の妙薬」と乾した孫太郎虫の伯父さん、「柳の虫や赤がえる」と小箱を提げたまむし売りなど、およそ感じのよくないグロの一党。
矢場と銘酒屋風景
美妙斎と噂の女
江戸以来の矢場、明治時代にも馬喰町の郡代、芝の神明前、浅草の奥山等に名残りを止めて楊弓店営業と鹿爪らしい看板、化生の女が下町の若衆相手に艶めかしい空気を漂わせたものだ。