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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
Read 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) by 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 128,862 characters · 251 screens
おでんの逆輸入
を開いた明治の食通幸堂得知翁いわく、「僕などはつゆ物はあま口、煮ものはからい方が好み、一つ口でこの通りだから、よく『煮物はいいが、わんはから過ぎるぜ』などといったもので、全く料理はむずかしいよ」。なるほどこれらは板前泣かせ。
おでんの逆輸入
忘れられた味噌おでんの風味
わんぱく時代の昔恋しいおでんの話。東京の煮込みが大阪で関東だき、それが逆輸入で銀座裏に関東煮とか大阪式おでんなどと看板を上げた度胸のよさ、おでん元来田楽の略、随って味噌おでんが本当だが、いつの間にか煮込みに押されて明治末以来、坊間には姿を見せぬ。
三十年前後まで赤行灯の荷を担いで、「おでんやおでん」と下町を流して歩いたのはたいてい味噌のおでん、串にさした三角の蒟蒻里芋の三つ差し、湯煮にしたのをさい箸で挟み出し、小さな瓶に仕込んだ味噌を刷毛でたっぷり塗ってくれる。一本が五厘、往来で立喰い、淡白で風流な味、大人も子供も舌を鳴らした。もっとも一方に煮込みのおでんも無論あったが、二十年頃までは縁日に出るくらい、特に「煮込みおでん」と書いた行灯、屋台の真中に銅の大鍋が目立った。
煮込みの方は大人向きに材料もいろいろ、といっても当時は蒟蒻、八つ頭、筋、ちく輪の類、名の如くぐつぐつ煮込んだところに味がある。