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めいじせそうひゃくわ
明治世相百話
山本 笑月
Read 明治世相百話 (めいじせそうひゃくわ) by 山本 笑月 (やまもとしょうげつ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 128,862 characters · 251 screens
大通、百物語の会
大通、百物語の会
凄味が出ないで、もがいた円遊
百物語の催しは度胸試しとあって、昔はずいぶん行われたが今は絶えた。これはそんな殺風景でなく当時の大通連の百物語。明治二十五年十一月、浅草公園奥山閣の広間で条野採菊翁の主催、夕刻から集まった連中は三遊亭円朝、五代目菊五郎を始め、南新二、金谷竺仙、三遊亭円遊、西田菫坡その他で約十人。
床の間には円朝の持参した芳年筆の女幽霊の一幅、古釣瓶へ薄と野菊の投げいれ、わき床にはあしと柳の盆栽、別室にはお約束の灯心十余筋をいれた灯明皿を置いて型通りの道具立て、万端整ったところで場所柄だけに、古寺めいた凄味は少しもない。
『粋興奇人伝』や、『三題ばなし』『楽屋評判記』などに名前の載っている連中、催主を始め老巧の人々、精々凄味を付けた怪談ぶりに一同怖毛をふるったかどうか、あいにくこちらは茶菓やなにかの世話で一向聞くを得なかったが、なんといっても玄人の円朝と、怪談は家の芸たる菊五郎の両人に落を取られ、他は笑声のもれるくらいで大した凄味はなかったらしい。
中途で茶の間へ逃げ込んで来た円遊、例の大きな鼻の頭の汗をふきながら、「驚いた驚いた、こんな苦しいことはねえ、こっちが凄味をつけてやっていても、肝腎のところでどっと来るのだからやり切れねえ、もう怪談は懲り懲りだ」