Read classic Japanese books with furigana
ja-reading.com
Read classic Japanese books online with furigana. Filter by JLPT level, tap a word for the meaning, and translate a sentence.
しほんたいへいき
私本太平記(三)
吉川 英治
Read 私本太平記(三) (しほんたいへいき) by 吉川 英治 (よしかわえいじ) in Japanese with furigana. JLPT N2. Tap a word for the meaning.
N2 · advanced · modern kanji and kana · 222,108 characters · 446 screens
前ノ源中納言北畠具行ハ、先帝ノ帷幄ニカクレ、天下ヲ禍乱ニ投ジタル逆謀ノ首魁タリシ事、スデニ歴乎タリ。
護送ニ及バズ、途上、ソノ居ル所ニオイテ、死罪ニ処セ。
と、いうのであった。
そしてなお、
「執刑は、佐々木入道道誉に申しつくる。なお道誉には、その儀、果たし次第、早々、鎌倉表へ身のみにて、罷り出ずべきこと――」
とも両使は言った。
道誉の答えは、弾んでいた。遅疑なく、お受けしたせつなに「おれは助かった」とする禍いの転嫁にほッとしていたのは、彼ならずとも、人間のあさましさ、ぜひがないともいえばいえる。
だが。
外の涼風に、再生の快を味わったすぐ後では、さすが、
「あの中納言が、それと、ここで知ったら、どんなに愕とするだろう。また、この道誉を恨むだろうか」
と、辛い立場におかれた自分に気がついて、なんともいえぬ当惑と、自己嫌厭に、ふっとその佇立はくるまれ出した。
おとといの晩、あの愛知川の長者の宿で語りあかしたときの、具行のよろこびようや、新しい希望に、涙まで垂れて恩を謝していた顔が――どうしようもなく、道誉の眼さきにつきまとう。
が、彼は、そんな蚊ばしらみたいな心の迷いを、しいて心で払いのけながら、